天文の基礎知識

天体の距離の単位について

 僕たちは日常で長さを使うとき、メートルという単位を使ってますよね。
でも、星と星の間の距離は、僕たちが日常で扱う長さに比べてとても長いため、これとは違う単位を使います

天文単位

 地球と太陽の距離(約1億5,000万キロメートル)を1天文単位といいます。地球1周が約4万キロメートルなので、1天文単位は地球を3,750周まわるのと同じ距離になります。とても長い距離というのが分かるかと思います。

光年

 1光年とは、光の速さで1年かかる距離のことを言います。光の速さは秒速30万キロメートルなので、1光年は9.5兆キロメートルになります。天文単位以上に気が遠くなるような距離ですね。

 有名な星の地球からの距離は以下の通りです。
  シリウス(こいぬ座): 8.6光年
  ベガ(こと座): 25光年
  べテルギウス(オリオン座): 643光年

 ちなみに地球から太陽までの距離を光年で表すと、0.000015光年になります。光年であらわすとなんだかとても小さい数字でよく分からないため、8光分(光の速さで8分かかる距離)とあらわす方が分かりやすいですね。

僕たちが星をみるということは?

 僕たちが星を見るとき、星そのものを見ていると考えがちですが、実は星から放たれた光を見ていることになります。これは日常生活においても同じです。
物体そのものを見ているのではなく、物体から放たれた光もしくは、物体に反射した光を見ているのです。

日常生活では、光の速さがあまりにも速く、一瞬で光が目に届くため、見えている物体は今もその場所にあると考えて問題ありません。例えば、野球でピッチャーが投げたボールをバッターが打つ場合、ボールは自分で光っていないので、球場の照明の光がボールに当たって反射した光がバッターの目に入り、バッターはボールの位置を知り、バットでボールを打とうとします。

ところが、宇宙にある星は、僕たちの住む地球からあまりにも遠く離れているため、日常生活とは事情が変わってきます。
 ベテルギウス(オリオン座)という星がありますが、この星はまもなく一生を終えようとしています。(恒星であるベテルギウスは、最期に超新星爆発を起こし、ガスやチリになると考えられています)
 ところがベテルギウスは地球から643光年離れているため、僕たちは643年前にベテルギウスから放たれた光をみていることになります。もし、地球からベテルギウスが爆発した様子が見えたとしても、それは、643年前に起きた爆発の光を見ていることになります。すでにベテルギウスはこの世には存在しない可能性だってあるのです。ふしぎな話ですね。

 このように宇宙はとても広いので、僕たちの日常生活とは違う感覚で距離を考える必要がありそうです。

公転と自転について

自転について

 近代まで、太陽や月、その他の星々が東の空から上がって、西に沈むのを見て、空が回っていると考えていました。これを「天道説」といいます。
今となっては当たり前の話ですが、地球が玉のような形をしていることも知られていなかった時代では、空を動く太陽などを見て、天が動いていると発想するのは、ごく自然なことだったと思います。
 ところが、夜空の星の動きを観察、記録していくうちに、天が動いているのではなく、地面が動いているという説を唱える人が現れました。これを「地動説」といいます。空に見える太陽などが動いているのではなく、“自分たちの住む大地が回転しているため、太陽などが動いているように見えているのだ”という考え方です。
 はじめは仮説でしたが、人類の文明が発達するにつれ、海を渡って、世界を一周する人が現れ、自分たちの住む大地が平面ではないことが分かってきたり、極めつけは、人類が宇宙にでて、宇宙から見た地球の映像を見ることで、地球が球体であることを疑いようのない事実として認識され、常識となりました。
 そして球体である地球が回転し、太陽の方向を向くことで、昼になり、太陽と反対の方向を向くことで夜になることも、今や、常識となっています。
このように地球が回転することを「自転」といいます。

公転について

 地球は1年をかけて太陽の周りを1周していますが、このようにある星が他の星の周りをぐるぐる回る動きを「公転」といいます。
 地球が太陽の周りを公転することで、日本には四季があったり、季節によって見える星座が変わってきています。

星の種類について(恒星とは?)

恒星とは?

 「恒星」とは自分で光っている星を言います。星は自分で光る「恒星」と、恒星の光を反射して光る「惑星」「衛星」に分けられます。僕たちの住む地球を例にすると、一番身近な恒星は太陽で、太陽の周りをまわっている地球が惑星、地球の周りをまわっている月が衛星になります。
 夜空に見える星のほとんどが恒星です。当然、太陽以外の恒星の周りをまわっている惑星やその周りをまわる衛星も存在していますが、これらは恒星に比べて暗いため、肉眼で見ることが難しいのです。

 太陽の次に地球から一番近い恒星は、「プロキシマ・ケンタウリ」と呼ばれるケンタウルス座の中に見える星です。太陽の次に近いと言っても地球から距離は約4.3光年(約41兆キロメートル)もあり、とても気が遠くなるような距離ですね。

なぜ恒星は光るの?

 恒星は核融合という現象で高温になるため、光って見えます。また、表面温度の違いによって恒星の色は以下の通り変わってきます。

赤い星
 ベテルギウス(オリオン座):3,800度
 アンタレス(さそり座):3,500度
 プロキシマ・ケンタウリ:3,300度
黄色い星
 太陽:6,000度
青白い星
 ベガ(こと座):9、500度
 シリウス(こいぬ座):10,200度

 このように温度の高い恒星は青白く見え温度の低い恒星は赤っぽく見えます。夜空に見える星の色に注目してみるもの面白いと思いますよ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする