僕たちが夜空を眺めた時、最も大きく、明るい星は月です。でも、月は満月になったり、三日月になったり、見る時期によって形が変わるのはなぜでしょうか? また、月はいつも夜空に見えているわけではありません。それはなぜでしょうか?
月の満ち欠けについて
月は、古くから29.5日周期で満ち欠けしていくことが知られていました。そして、満ち欠けの状態によって、以下のような名前が付けられています。
僕たちに馴染みがあるのは三日月~満月ではないでしょうか? 特に二十六夜月は馴染みが薄いかと思います。それはなぜでしょう?
月が満ち欠けする理由とは?
それでは、なぜ、月は満ち欠けするのでしょうか? これを考えるには、太陽と月と地球の位置を考える必要があります。月は太陽に照らされて光って見えるため、地球から見た時の月が太陽に照らされている部分の見え方により、月の満ち欠けが決まります。
図だけでイメージし辛ければ、実際にピンポン玉を半分だけ黒く塗りつぶしたものを用意してみて、様々な方向から眺めてみると、満ち欠けの様子が分かりやすいかと思います。
満月になる理由について
ここまでの説明では、簡単な模式図を使ってきましたが、ここで、疑問に感じることはないでしょうか? 僕は小さいとき、半月や三日月が見える理由はすんなり理解できましたが、満月がなぜ見えるのか疑問でした。月が地球の影に入ってしまうため、満月は見えなくなるのではないか?と考えていたのですね。これについては、以下の通り説明をすることができます。
月の公転軌道のある白道面と地球の公転軌道のある黄道面は約5°の傾きで交わっているため、地球から見て月が太陽と反対側にきても、地球の影に入るとは限りません。上の図では説明のため、分かりやすく示すため地球と月の大きさを大きく書いていますが、実際は地球と月の距離が約38万キロメートルに対して、地球の直径は約1万3,000キロメートル、月の直径は3,500キロメートルしかないため、滅多なことでは、月は地球の影に入ることはないんですね。
月の見える時間帯、位置は?
月の満ち欠けは月と太陽と地球の位置関係で決まることは説明しました。そして、この位置関係は月の満ち欠けだけでなく、月が見える時間帯や位置にも影響します。
(1)三日月の見える時間帯と位置
それでは、まず、三日月について説明します。
三日月は日没後、西の空の低い位置に見えはじめ、数時間で太陽を追うように沈みます。
(2)半月(上弦の月) の見える時間帯と位置
半月(上弦の月) は日没後、南の空高くに見えはじめ、深夜12時前に西の空に沈みます。
(3)満月 の見える時間帯と位置
満月は日没後、東の空の低い位置に見えはじめ、深夜12時頃に南の空高くに移動し、夜明け前に西の空に沈みます。
(4)半月(下弦の月) の見える時間帯と位置
半月(下弦の月) は夜中12時過ぎに 東の空の低い位置に見えはじめ、夜明け頃に 南の空高くに移動し、 次第に空が明るくなり、見えなくなります。深夜12時過ぎにならないと見えないため、僕たちにとって、下弦の月は馴染みの薄いんですね。
(5)二十六夜の月の見える時間帯と位置
二十六夜月は、夜明け前に東の空の低い位置に見えはじめ、夜明け後、空が明るくなり、見えなくなります。 見える時間帯が短いため、下弦の月以上に馴染みが薄いんですね。
外国でも月は同じように見えるの?
答えはNOです。月を観察する地点の緯度によって、月の傾き方が変わってきます。もう少し詳しく言うと、地球の自転軸が傾いているため、同じ緯度であっても時間帯や季節によって、月の傾き方は多少変化します。例えば、日本で三日月が見えているときの、外国での月の見え方を以下に示します。
上の図のように、北半球と南半球では月の見え方が逆になります。東京では三日月がみえていますが、ニュージーランドでは、二十六夜月がみえています。
まとめ
太陽と月と地球の位置関係によって、月の満ち欠けの状態が決まり、また、月が見える位置や時間帯も決まることを説明しました。そんなに難しく考える必要はなく、「月が満ち欠けする理由とは?」で示した図が全ての考え方のベースになります。これさえ理解できていれば、月に見える位置や時間帯を導き出すことができます。今後、月を見た時に、月の見え方のメカニズムも意識してみると、月や地球の動きがぐっと身近に感じられると思いますよ。