宵の明星、明けの明星~なんで宵と明けなの?

(提供NASA)

 「宵の明星」とか「明けの明星」ってよく聞きますが、これっていったい何でしょうか? どうしてこのように特別な呼び名がつけられているのでしょうか?

そもそも明星って何?

 太陽と月の次に明るく見える星のため、「一番星」と言われることがありますが、この「明星」とは金星を指しています。

なぜ、「宵の」とか、「明けの」がつくのか?

 それでは、なぜ「宵」とか「明け」という言葉がつくのでしょうか? それは単に「宵」とは“ 日が暮れてからしばらくの間 ”という意味で、「宵の明星」とは、日が暮れてからしばらくの間に見れられる金星を表しています。また、「明け」とは“夜が明けること”という意味で、「明けの明星」とは、夜が明ける時に見られる金星を表しています。

 それではなぜ、「宵の明星」と言われるのでしょうか? それは金星が日暮れの時間帯に見られるからです。その理由を考えていきましょう。
 金星は地球と同じく太陽の周りを公転する惑星ですが、地球よりも太陽に近い軌道を回っています。そして、金星は太陽のように自ら光を放つ恒星ではないため、太陽の光を反射して光ります。ただ、公転軌道が太陽に近いため、太陽が地平線の下に沈むまでは 太陽の光がまぶしくて見ることができません。

 そして、日が暮れて辺りが暗くなると、金星が見えるようになります。これが「宵の明星」です。

 「明けの明星」は「宵の明星」と異なり、夜明け前に見えますが、これも夜が明けると太陽の光がまぶしくて見ることができませんが、夜明け前の辺りが薄暗い時間帯に金星を見ることができます。

いつ見ることができるのか?

 「宵の明星」が見られるのは、上の図で示したように、地球からみて金星が太陽より左側にあるときです。一方、「明けの明星」が見られるのは、 地球からみて金星が太陽より右側にあるときです。このように太陽と地球と金星の位置関係により、金星が見えるかどうかが決まります。 そのため、 「宵の明星」 「明けの明星」 が見られる時期を知るには、地球と金星の公転の動きを考慮する必要があります。

 ご存じのように、地球は太陽の周りを365日かけて1周しています。そして、金星は太陽の周りを225日かけて1周しています。地球から見て金星が太陽に近すぎないときに限って金星を見ることができます。図で示すと以下の通りです。

 具体的に直近で金星が見られるのは、以下の期間になります。

宵の明星 : 2019年11月~2020年6月
明けの明星: 2020年7月~2021年2月
宵の明星 : 2021年7月~2021年12月
明けの明星: 2022年3月~2022年7月

宵の明星も三日月になる?

 金星は太陽の光を反射して光って見えるため、月と同様に地球から見た太陽と金星の位置によって満ち欠けをします。

 上の図のように、宵の明星は日が経つにつれてだんだん欠けていき、明けの明星はだんだん満ちていくようにみえます。金星の形にも注目して宵の明星、明けの明星を観察するのも面白いのではないでしょうか?
 ただ、さすがに肉眼で区別するのは難しいので、望遠鏡が必要になります。3千円程度で入手できる組み立てキットの天体望遠鏡でもそこそこ観察できます。もし、興味のあるかたは、入手してみて、もう少し深い天体観察を楽しんでみてはどうでしょうか?

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