台風がくる時期や進路は何によって決まるのか?

 2019年9月9日、台風15号が関東地方を通過し、千葉県を中心に甚大な被害をもたらしました。台風には日本列島を通過するものと、通過しないものがありますが、何によって台風の進路が決まるのでしょうか? この記事では、台風の進路を決める要素についてお話したいと思います。

進路はカーブを描く

 2019年9月9日に関東地方と直撃した台風は、以下のような進路を取っていました。当初、北西に進んでいた台風が、日本列島付近で急激に北東へ進路を変えました。

2019年台風15号の進路(提供: 国際気象海洋株式会社

 また、台風の進路は季節ごとに異なり、おおよそ以下のような進路を取ります。特に7~10月頃には日本列島付近で大きくカーブを描くように移動します。

進路を決めるものは何?

 台風がどのような進路を取るのかについてみてきましたが、なぜ、台風の進路は季節によって変わるのでしょうか? また、台風の進路に影響を与えるものは何でしょうか? を次に説明していきたいと思います。

北西方向へ移動しようとする

 台風は赤道付近で強い日差しで海水が温められてできた上昇気流がさらに勢いを増すことで発生します。そして、発生した台風は北上していきますが、なぜ北上するのでしょうか?

 発生した台風が北上する原因は、地球が自転することによって発生する「コリオリの力」にあります。まず、台風の中心では上昇気流が発生しているため、台風の中心部に向かう大気の流れが発生します。この大気の流れに対してコリオリの力が働き、大気の流れが右方向にそれます。(ここでは北半球の場合を前提としています。南半球では、コリオリの力は左方向へ働きます。)コリオリの力は緯度が高いほど大きくなるため、台風全体の大気の流れが西方向へ偏り、台風は西へ進もうとします。すると、台風が西へ進もうとする動きに対してもコリオリの力が働き、台風は北西方向へ進むようになります。

太平洋高気圧による影響

  上で述べた通り、台風には北西方向へ進む性質がありますが、これに加えて、太平洋上にある高気圧も台風の進路に影響します。
 7~10月頃 の日本列島付近の太平洋上には、太平洋高気圧が張り出しており、地表や海面近くでは、下図のように気圧の高いところから低い方へ大気が流れます。そのため、台風は太平洋高気圧の中心から外側方向へ流されます。

 今回の台風15号の場合、下図の通り、太平洋高気圧の中心から青矢印の方向に大気の流れがあり、これにより台風を西方向へ押しやる力が働きます。

そのため、北上してきた台風は、太平洋高気圧にぶつかると、 太平洋高気圧の淵に沿って移動することになります。

偏西風による影響

  7~10月頃、太平洋高気圧に押し出されながら北西方向に進んできた台風は、日本列島のある北緯30°付近までくると、この付近で吹いている偏西風の影響を受けます。

 台風は日本付近にくると偏西風に流されて北東方向へ進路を変えます。その後、偏西風によって流される力と、太平洋高気圧によって押し出される力が釣り合うポイントに沿って、台風は移動していきます。その結果、日本列島付近で台風の進路は大きくカーブを描くようになります。

 なお、6月や11月にも台風は発生しますが、日本列島に到達することは稀です。6月に台風が日本列島に来ないのは、下の天気図のように、太平洋高気圧が大きく張り出しているため、台風の進路が遮られることが原因になります。台風は偏西風の吹く北緯30°以上のエリアに到達できないため、そのまま西方向に移動していきます。

 また、11月に台風が日本列島に来ないのは、下の天気図のように、太平洋高気圧が弱まり、日本列島に近づく前に偏西風によって進路が北東方向に変えられるか、大陸側から高気圧が張り出して日本列島に覆いかぶさり、台風がそのまま西方向へ進むことによります。

まとめ

 台風は発生した当初はコリオリの力によって北西方向へ進みますが、その後は気圧配置偏西風によって進路が変わってくることについて説明してきました。中でも気圧配置の変動は季節によっておおよその傾向が決まっていますが、年によって、太平洋高気圧の張り出す時期や範囲、そして勢力の弱まる時期はある程度変動します。そのため、発生した台風の進路も変動するということでした。

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