建物は普通、地面に垂直に建っていますよね?
でも、傾いて建っていることで有名なのが『ピサの斜塔』です。本記事ではこのピサの斜塔について解説します。
まずはピサの斜塔の場所や外観を見てもらうために空撮風の動画を作成してみましたので、どうぞ!!
Contents
どんな建物なの?
ピサの斜塔は、イタリア北西部のピサ市内のドゥーモ広場(※)にあるピサ大聖堂の鐘を設置するために建てられた塔です。
ピサの斜塔は大理石で作られており、8階建てで高さが56m、直径が17mあります。
そして何といっても垂直から約4度傾いているのが一番の特徴です。
ピサの斜塔を含むドゥーモ広場は「ピサのドゥーモ広場」として世界遺産に登録されています。
ここの建造物はローマ時代の重厚で石造りの厚い壁や小窓、半円のアーチ構造の天井といった建築様式を取り入れたロマネスク建築の代表作として知られてるよ。
いつ建てられたの?
ピサの斜塔があるピサは、紀元前2世紀にローマ帝国の貿易拠点として興ったと考えられています。
そして、11世紀には強力な海軍を持ち、イタリアにてアマルフィ、ジェノヴァ、ヴェネツィアと並ぶ海洋国家として栄えました。
そんな中、1063年のパレルモ沖海戦で地中海貿易の覇権を争っていたイスラム軍に勝利したことを記念してピサ大聖堂は建てられました。
ピサ大聖堂は1063~1118年、1261~1272の二期に渡って建てられましたが、ピサの斜塔は大聖堂に付属する施設として1173年に建て始められ、完成したのが1372年と完成までに200年近くかかりました。
建てている最中に地盤が悪くて塔が傾きはじめ、これを修正しながら工事を進めたため、完成までに時間がかかったそうです。
塔が傾いているのは地盤のせいなんだね。でも、地盤が悪いと分かってたのに工事を中止しないで、完成させてしまったなんてすごいですね!
ピサの斜塔をよーく見ると、一番上の階の傾きが違っていて、完成する前に傾いていたことが分かるね。
概要を説明したところで、ピサの斜塔を中心にした空撮風動画も作成してみたのでよろしければどうぞ!!
現在に至る経緯やエピソードなど
ピサの衰退
地中海の航路を利用した中近東やアジア諸地域との貿易(東方貿易)でイタリアの各都市は発展しましたが、やがて、お互いに争うようになり、1284年にメロリアの海戦でピサはジェノヴァに敗れ、衰退していきました。
また、15世紀の大航海時代になると、1492年のコロンブスのアメリカ大陸発見、1498年のバスコ・ダ・ガマによるインド航路の開拓などによってヨーロッパの貿易の中心は大西洋側に移り、東方貿易で栄えたイタリアの各都市は衰退していきました。
ガリレオの実験
中世を代表するピサ出身の科学者、ガリレオ・ガリレイ(1564~1642年)がピサの斜塔で有名な落下実験をしたことが知られています。
ガリレオはピサの斜塔の頂上から大小2つの鉛玉を同時に落とし、鉛玉が同時に地面に到着することから「物体の落下速度は その物体の重さよらず一定である」という物理法則を証明しました。
でも、このエピソードはガリレオの弟子が創作したものだという説が有力なんだ。
傾きを直す改修工事
ピサの斜塔は、一時、5.5度まで傾き、倒壊が心配されました。
そこで、1990~2001年にかけて傾き直すための改修工事(※)がされました。
※ 塔の南側の地盤が柔らかくて塔が沈み込んでいるので、改修工事では反対の北側の地盤を掘ることでバランスをとりました。
改修工事の結果、傾斜は現在の約4度になり、あと300年は倒れる危険はないと言われてるよ。
塔の鐘は鳴らされていない?
ピサの斜塔の最上階には複数の鐘が設置されていて、定刻に鐘の音が鳴り響きます。
でも、この鐘の音はスピーカーから流しているんです。
なんで鐘があるのに鳴らさないの?
鐘を鳴らした振動で塔がこれ以上傾いたらいけないからだね。
観に行くには ?
アクセス
最短ルートで行くには
日本からピサの斜塔に行くルートで最も早いのは、羽田空港からイギリスのヒューストン空港を経由してピサ空港まで(15時間弱)行き、そこからドゥーモ広場までバス(10分)で行くルートになります。
ローマなどの他の観光地も見たい場合は
また、ピサの斜塔はイタリアの主要観光都市であるローマやフィレンツェから日帰りで行く事ができます。
この場合は、ローマの中心駅であるテルミニ駅からフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅までが電車で約一時間半、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅からピサの斜塔の最寄りのピサセントラル駅までが電車で約一時間かかります。
ピサセントラル駅からピサの斜塔までは、徒歩もしくはバスで行くことができます。
塔の中に入れます
営業時間は開始が9:00で、終了は18:00~22:00と季節によって異なります。営業時間の詳細は以下のサイトで確認できます。
https://www.opapisa.it/en/opening-and-closing-time/
現在、ピサの斜塔の中に入り、最上階まで296段のらせん階段を昇ることができます。
入場料は18ユーロですが、塔が傾くのを防ぐために1度に登れる人数が制限されているため、事前に予約しておくのが望ましいです。
また、階段の幅が狭いので、大きい荷物は塔に入る前に手荷物預かり所に預ける必要があります。