一般的に建物を建てるときは予算が決まっているので、あらかじめ立てた計画に基づいて建てられるかと思います。
そんな中、なかなか完成しないことで有名なサグラダ・ファミリア。本記事ではこのサグラダ・ファミリアについて解説します。
まずはサグラダ・ファミリアの場所や外観を見てもらうために空撮風の動画を作成してみましたので、どうぞ!!
なんだかとても複雑そうな建物。。。
Contents
どんな建物なの?
概要
サグラダ・ファミリアは、スペイン北東部のバルセロナにあるカトリック教会の聖堂です。
スペインの天才建築家アントニ・ガウディ(1852~1926年)が生涯をかけて建築に取り込んだ建物です。
1882年の着工から130年以上経った現在も建造中で、未完の建造物として広く知られています。
聖書の物語を表現した装飾や彫刻と聖堂が一体化しており、まさに建物自体が芸術作品と言えるね。
見どころ
では、サグラダ・ファミリアの見どころを紹介します。
生誕の門
東側にある生誕の門は、キリスト生誕の喜びを表現しています。
ここには、キリスト生誕から青年期までの物語が21点の彫刻で表現されています。
すっごく豪華な装飾ね!!
生誕の門はガウディが生きている時にほぼ完成形になっていた唯一の門で、2005年に「アントニオ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されているよ。
受難の門
西側にある受難の門は、キリストの苦悩と悲しみがテーマになっています。
最後の晩餐から十字架でのキリストの処刑、復活までの物語が14点の彫刻で表現されています。
生誕の門と対照的に、装飾の少ないシンプルな構造で彫刻も角ばった形をしており、苦しみや悲しみを表現しているんだね。
栄光の門
南側にある栄光の門はまだ作成途中ですが、最後の審判や天地創造の物語が表現される予定です。
3つある門の中で一番豪華な門となり、完成すれば正面入口となる重要な門です。
完成予想図の動画が公開されているので紹介します。こちらの動画の中で栄光の門の完成イメージも確認できますよ!
まだまだ完成まで先が長そうだわ
聖堂内部
重厚な外見と対照的に内部は明るく、開放的な空間になっています。
特に夕方になると西日がステンドグラス越しに入り、色鮮やかな光が床や柱を照らしてより一層神秘的な空間となります。
ステンドグラスの色鮮やかな窓がとてもステキ! 天井の装飾も素晴らしいわ。
内部は森をイメージした空間になっているんだ。全部で36本ある大理石の柱は樹木を表現していて、上の方は枝分かれまでしている凝った造りになっているよ。
18本ある塔
サグラダ・ファミリアには18本の塔があり、2020年現在、10本の塔が完成しています。
完成している塔のうち、生誕の門と受難の門にある塔は事前に予約して昇ることができます。(行きはエレベーターで上がり、帰りは400段ほどのらせん階段を下ります)
塔の上からはバルセロナ市内を一望できますが、眺望よりも地上からは遠くて見づらかった装飾を間近でみたくて塔に昇る観光客が多いです。
残念ながら一回の入場で両方の塔を登ることは出来ません。入場チケット購入時にどちらか一方の塔を選択する必要があります。
一般的には生誕の門の塔の方が人気があります。
なぜなら、ガウディが生きている間に造られた装飾を間近で見る事ができるからです。(受難の門はガウディの死後に建造されています)
でも、受難の門の塔の方が色鮮やかでバリエーションに富んだ装飾をみることができたり、比較的空いていてゆっくり見学できるため、こちらを好む人もいます。
現在、サグラダ・ファミリアの中央にキリストの塔(完成時の高さは172m)が建造中ですが、完成したらこちらの塔もエレベーターで昇ることができるようになるので楽しみですね。
さて、概要を一通り説明したところで、サグラダ・ファミリアを外観をじっくり観察できる空撮風動画も作成してみたのでよろしければどうぞ!!
現在に至る経緯やエピソードなど
もともとの設計者はガウディじゃなかった?
1882年の着工当初、サグラダ・ファミリアの設計者はフランシスコ・ビリャ―ルという建築家でした。
ところが、 ビリャ―ル は建設アドバイザーと建築材料を巡った意見の対立により1年で設計者を辞任してしまい、その後任として当時無名の建築家だった31歳のガウディが任命されました。
ガウディは2代目の設計者でしたが、ビリャ―ルが作成した設計を一旦、白紙に戻して再設計したため、サグラダ・ファミリアの設計者はガウディとされています。
オリジナルの設計資料が失われてしまった!!
ガウディの死
1926年、72歳のガウディはサグラダ・ファミリアの建築現場から帰る途中に路面電車にはねられて亡くなってしまいます。
この時点でサグラダ・ファミリアはまだ五分の一から四分の一程度しか完成していませんでした。
設計者のガウディは亡くなりましたが、ガウディが生前に遺した多くの模型や詳細なスケッチをもとに弟子達によって工事は引き継がれました。
スペイン内戦
1936年にスペイン内戦が勃発し、工事が中断されます。
この内戦時に建造中のサグラダ・ファミリアも一部損壊するなどの被害を受け、設計資料の大半も焼失してしまいました。
工事を続ける事が困難なため、未完成のまま博物館として残すという話もありましたが、1952年から工事が再開されました。
ただ、設計資料が残っていなかったため、中断前に工事に携わっていた職人から聞いたり、外観のデッサンなどの残されたわずかな資料から完成形を推測しながら工事が継続されました。
資金不足による工事遅延
サグラダ・ファミリアは「贖罪教会」として建てられました。(贖罪とは、善行を積んだり金品を出したりするなどの実際の行動によって、自分の犯した罪や過失を償うこと。 )
そのため、建設のための資金源は贖罪にきた信者からの寄付と観光収入のみでした。
内戦終結後、スペインは軍事政権だったため現在ほど観光収入がなく、工事資金が大幅に不足して工事が遅れました。
転機が訪れたのは1975年でした。
フランコ国王の死去し、その後、スペインが民主化されると徐々に状況が好転していきます。
1990年代になると、観光収入が増えて資金不足も次第に解消していきました。
2026年に完成予定
着工のしょっぱなから設計者が交代、内戦勃発と設計資料の消失、資金不足など様々な問題があり、サグラダ・ファミリアは完成まで300年かかるといわれていました。
ところが、近年の技術の進歩によって工期が大幅に短縮され、2026年に完成予定となっています。
3Dプリンターやコンピュータ制御の石材加工機を活用して工期を短縮したんだ。
ただ、これは建物本体の完成時期であって、装飾の製作はその後も気長に続けられるとのことです。
建設の様子を収録した興味深い動画があるので紹介します。
観に行くには ?
アクセス
日本からバルセロナへの直行便はないため、EU内の都市を経由する必要があります。
フライト時間が最も短いのは、羽田空港からオーストリアのウィーン国際空港を経由してバルセロナ エル・プラット国際空港まで行くルート (15時間半) になります。
空港からは鉄道でサンツ駅まで移動し、そこから地下鉄にて最寄り駅のサグラダファミリア駅まで行けます。
入場するには
当日にチケットを買うことはできますが、入場人数に制限があるため、あらかじめ予約しておいた方がよいです。予約は以下のサイトでできます。
https://tickets.sagradafamilia.org/en/
入場料は塔のエレベーターも利用する場合、33ユーロで、聖堂の入場のみであれば28ユーロになります。
聖堂への入場口は生誕の門にあります。
キリスト教の施設のため、帽子を被ったり、肩が出てたり、丈の短いパンツなど露出の多い服装での入場はNGなので、暑い時期に訪れる場合は気をつけましょう。
塔を昇るエレベーターの時刻は予約時に指定しますが、それ以外は営業時間内(9:00~18:00 3~10月は19:00まで、4~9月は20:00まで)であればいくらでも見学できます。